リチウムイオン電源(バッテリーパック)の使用方法
リチウムイオン電池は、ニカド電池やニッケル水素電池に比較して、作動電圧やエネルギー密度が高いなどの優れた特長を持っています。不適切な取り扱いによって事故を起こさないよう、使用方法を熟知した上で、取り扱いには十分にご注意の上、安全に配慮したご使用を心がけてください。
1.特長
リチウムイオン電池は次のような特長を持っています。
高い作動電圧
公称電圧がニカド電池やニッケル水素電池より高い。高エネルギー密度
高電圧作動と軽い電極材料の使用により高エネルギー密度が得られます。メモリー効果が少ない
浅い放電と充電を繰り返しても、電池の容量が見かけ上低下するメモリー効果と呼ばれる現象はありません。
2.一般的な(推奨される)使用方法
電池パックには、リチウムイオン電池と保護機構や制御回路を組み合わせ、一つの容器中に容易に分解できない状態で封入された形状をしています。
リチウムイオン電池の電池パックには、過放電、過充電、を防止する保護機構や制御回路があり、電池パックは使用していない場合であってもわずかに電力を消費します。使用する充電器は専用のものが付属しています。
以下に一般的な使用方法を記載してありますので、これを参考として事故の無いようにご使用下さい。
3.充電
充電は、弊社が指定する充電器で行って下さい。
指定された充電器以外では、電池性能の低下や、発熱、破裂、発火の原因となります。充電は、使用説明書の指定する温度範囲で行って下さい。
指定された値よりも高い温度で充電すると、寿命が短くなるなどの電池性能の低下や、場合によっては異常な化学反応によって電池の内圧が上昇し、ガス排出弁が作動して、電解液が外部に漏れ出る(漏液)原因となるおそれがあります。
指定された値よりも低い温度で充電すると、充電効率が低下して電池が充分充電されないため、使用時間が短くなることがあります。充電完了後、電池パックを充電器に繋いだままで放置しないで下さい。
必要の無い状況で、電池パックに充電器につないだままにすると、寿命が短くなるなど、電池性能が低下することがあります。
4.放電
指定された放電条件以外での使用はしないでください。
指定された放電条件以外では、機器の故障の原因や、電池が発熱、破裂、発火する原因となります。放電は使用説明書で指定する温度範囲で行って下さい。
ご使用になる温度によって電池性能は異なります。指定の値より低い温度で使用する場合、使用時間は短くなります。また、指定の値より高い温度で使用する場合は、寿命が短くなるなど、電池性能を低下させることがあります。
5.保存
リチウムイオン電池は、保存性に優れた電池です。適正な保存条件を守れば、充電によって保存前と同様に使用できます。また、充電した電池を放置すると自己放電や保護機構や制御回路への微少な電力供給によって容量が減少しますが、充電をすれば容量は回復します。
使用説明書で指定する温度範囲で、腐食性ガスのない、湿気の少ない場所に保存して下さい。
指定温度範囲外又は湿気の多い場所での保存は、金属部分のさびの発生や容量が十分に出ない、寿命が短くなるなど、電池の性能を低下させることがあります。水中に投入したり、水や海水に濡らしたりしないでください。
電池パックに組み込まれている保護機構や制御回路が壊れ、異常な電流や電圧で電池が充電され、電池内部で異常な化学反応が起こり、電池が発熱、破裂、発火する原因となります。長期保存後は充電してからお使いください。長時間保存しない場合でも、6ヶ月に1度は使用説明書で推奨する充電状態に充電してください。
使用説明書に指定した保存温度範囲内であっても、長期保存後は容量が少なくなっていることもあります。長期使用しない場合は必ず機器から取り外してください。
機器に接続したままで長時間放置すると、寿命が短くなるなど電池性能を低下させることがあります。
6.電池の取り替え
使用説明書に指定の方法で充電しても使用時間が著しく短くなった場合は、弊社で内部電池の交換などを行うか、寿命と考え新しい同型の電池パックと取り替えてください。
7.取り扱いの禁止事項
電池を分解しないでください。
電池を分解すると組み込まれている保護機構や制御回路が壊れるおそれがあります。電池の分解中に電池がショートしたり、発生するガスがのどを刺激したり、発熱、発火したり、漏れ出た電解液に引火したりする原因となり非常に危険です。電池を加工・改造しないでください。
電池を樹脂などでモールド加工などをしたりすると、ガス排出弁が塞がれたり、何かのトラブルにより内圧が上昇した場合にはガス排出弁が作動せず、電池が破裂する原因となります。
電池を改造すると組み込まれている保護機構や制御回路が壊れるおそれがあります。保護機構や制御回路が壊れると異常な電流や電圧で充電されたり、放電されたりしたときに保護装置が働かず、電池が発熱、破裂、発火する原因となります。電池に直接ハンダ付けしないでください。
電池に直接ハンダ付けすると、電池が内部でショートする場合があり、その結果急激な発熱のために電解液が沸騰したり、ガスソケットやセパレータなどの樹脂部品が溶融して漏液、破裂、発火の原因となります。電池の(+)と(-)をショート(金属でつなぐなど)しないでください。
電池の(+)端子と(-)端子が電線や金属類でショートすると、過大な電流による発熱のため電解液が沸騰したり、樹脂部品が溶融して漏液、破裂、発火の原因となります。またショートした金属類が発熱して発火源となるおそれがあります。例えば、電池を金属製のネックレスやヘアピンなどと一緒に持ち運んだり、保管すると電池をショートさせるおそれがあります。電池を火中に投入したり、加熱したりしないでください。
電池を火中に投入すると、電解液の有機溶媒が勢いよく燃焼したり、破裂する原因となり、非常に危険です。
電池を加熱すると、電解液が沸騰したり、樹脂部品が溶融して、漏液、破裂、発火の原因となります。電池に強い衝撃を与えたり、投げつけたりしないでください。
電池に強い衝撃を与えると、電池に組み込まれている保護機構や制御回路が壊れ、異常な電流や電圧で充電され、電池内部で異常な化学反応が起こり、電池が発熱、破裂、発火する原因となります。電池に釘を刺したりして穴を開けないでください。
電池に釘を刺したりすると、電池内部がショートして、その結果急激な発熱により、漏液、破裂、発火の原因となります。電池を電子レンジや高圧容器に入れないでください。
電池が急に加熱されたり、高圧で電池が変形して密閉状態が壊れたりして電池が発熱、破裂、発火する原因となります。高温の場所で使用しないでください。
電池は高温になると、樹脂製のセパレータが損傷して内部がショートしたり、組み込まれている保護機構や制御回路が壊れ、異常な電流や電圧で充電されたり、放電されたりしたときに保護機構や制御回路が働かず、電池が発熱、破裂、発火する原因となります。例えば、直射日光の強いところ、炎天下の車内、火の側、ストーブの側、などは、非常に高温になることがあります。異電池と混用しないでください。
乾電池などの一次電池や、容量、種類、銘柄の違う電池を混ぜて使用すると、電池が使用中に過放電や強制放電されたり、充電時に過充電されたりして、電池内部の異常な化学反応によって、電池が発熱、破裂、発火する原因となります。
8.取り扱い時の注意事項
電池の充電は、仕様書で指定する充電器を使用し、充電条件を守ってください。
指定外の充電条件(指定以上の高い温度、指定以上の充電電圧や大きな電流、改造した充電器など)で充電すると、電池が過充電され、電池内部の異常な化学反応によって、電池が発熱、破裂、発火する原因となります。電池を充電するときは、充電器に正しくセットしてください。
電池を充電するとき、誤って充電器に(+)(-)を逆につないで充電すると、電池内において異常な化学反応が起こり、内圧が上昇したり、温度が上昇したりします。その結果、極端な場合には電池が発熱、破裂、発火する原因となります。
接触が不十分なときなど、うまくつながらないまま無理に接続すると、接触部分の損傷や温度上昇により、電池が発熱、破裂、発火する原因となります。
9.異常時の処置
- 電池の使用中、充電中、保管時に異臭を発したり、異常に発熱をしたり、変色、変形その他、今までと異なることに気がついたときには、電池を機器又は充電器より取り外し、その後の使用は避けてください。
充電の際に規定の充電時間を超えても、充電が完了しない場合には、充電を止めてください。
電池か充電器の異常と考えられますので、そのまま充電を続けると電池が漏液、発熱、破裂、発火する原因となるおそれがあります。電池が漏液したり異臭がするときは直ぐに火気より遠ざけてください。
漏液した電解液に引火し、破裂する原因となります。電池が漏液して皮膚や衣服に付着した場合には、直ちに水道水などのきれいな水で洗い流してください。
十分に洗浄しないと皮膚がかぶれたりする原因になるおそれがあります。電池が漏液して液が目に入ったときは、こすらずに直ぐに水道水などのきれいな水で洗った後、直ちに医師の治療を受けてください。
適切な治療を受けないと目に障害を与える原因となります。
10.保護者、介護者へのお願い
電池を誤って触ることの無いよう、電池は、乳幼児の手の届かないところへ置いてください。
乳幼児が充電器や使用機器の電池を触らないように注意して下さい。電池の充電方法については、取扱説明書を良くお読み下さい。
電池の機器への取り付け方、取り外し方については、機器の取扱説明書を良くお読みください。
11.説明書を読むことのお願い
ご使用の前に必ず取扱説明書、または注意書きをよくお読みください。
電池の充電方法については、取扱説明書をよくお読みください。
電池の機器への取り付け方、取り外し方については、機器の取扱説明書をよくお読みください。
12.使用済の電池の処置について
使用済の電池は(+)又は(-)端子にテープなどを貼って絶縁し、又は、個別にポリ袋などに入れてください。
電気容量が残っていると、他の金属と接触して(+)と(-)がショート状態となり、発熱、破裂、発火の原因となるおそれがあります。使用済電源装置を廃棄する場合は、産業廃棄物処理業(収集・運搬・処分)の許可を得た業者に廃棄処理を依頼するか、販売会社又は弊社へご連絡ください。
リチウムイオン電池を含む小型二次電池は、平成13年4月に施行された『資源の有効な利用の促進に関する法律』により、リサイクルが義務づけられています。
13.改造の禁止
使用済の電池や不要となった電池を解体し、電池パックから単電池を取り出し、単電池のまま販売したり、又は制御回路を載せ替える等、電池を改造する事は絶対にしないでください。